工程とお手入れ
玉虫塗ができるまで
独特の風合いは、多くの工程を経て作られます。
美しく輝く玉虫塗の下には、職人技が何層にも重なっています。
-
下地作り / 中塗り
木や金属、ガラス、樹脂などでできた素地の凸凹や傷を、磨いたり削ったりを繰り返し、上塗りができる状態にします。塗っては研磨するという作業を繰り返して、表面を滑らかに強くしていきます。塗り物は下地で決まると言われるほど、重要な工程です。
-
銀蒔き
最大の特徴である「艶やかな光沢」を生み出す、玉虫塗だけの独特の工程です。この銀粉の輝き具合を調整することにより、玉虫塗の奥からの美しい照り返しを実現しています。
-
銀研ぎ
銀粉の粒子の凹凸を滑らかにするとともに、上塗りとの密着をよくするための工程です。
-
調合
その日の気温や湿度、塗るものの形や大きさに合わせて、色味や粘度を調整し、調合していきます。
-
上塗り
赤や緑の玉虫塗に仕上げます。まさに熟練の技が必要とされるのがこの上塗りの作業。湿度や温度に合わせて適切な調整をして、均一に色を塗っていきます。埃やゴミが付かぬよう、そして色むらができないよう、細心の注意を払って緻密な作業を繰り返します。木製の室(むろ)で一晩から1週間ほど、上塗りが落ち着くまで自然乾燥をします。
-
加飾
ひとつひとつ職人が手作業で、独特の華やかな飾り模様を蒔絵という技法で描いていきます。
現代に寄り添う漆器へ −
高耐久性漆器の技術開発
東北工芸製作所と産業技術総合研究所 東北センターが共同で、漆工の擦過性、耐候性等を向上させるナノコンポジットの技術を用いたコーティング(保護膜)を開発し、玉虫塗への応用を実現しました。
伝統技術の高度化により、現代のライフスタイルに合わせた商品への漆工の展開が広がります。また、食洗機にも耐えられるため業務用や海外での需要拡大、さらには携帯デバイスや自動車内装部品等の工業製品への応用可能性も期待できます。
東北工芸製作所は、創業以来、時代に合わせた日用品を生み出し続けてきました。そして、今回、ナノコンポジットコーティングを開発(特許申請中)したことにより、日常使いに頼もしい耐久性を持った玉虫塗を皆さまにお届けします。
お手入れのポイント
玉虫塗は丈夫で割れにくく、耐久性に優れているのが特徴。少々使い方にご注意をいただければ、大変長くお使いただけるものです。そして、時を重ねるごとに玉虫塗りの色艶はより深まり、味わい深いものとなります。
-
- 1. 洗剤とスポンジでお洗いいただけます
- 中性洗剤と柔らかいスポンジを使い、他の食器同様にお洗いいただけます。
-
- 2. 洗った後はすぐに拭きましょう
- 美しさを保つために、濡れたたままにせず、できるだけ早くやわらかな布で拭きましょう。
(クリスタル食器と同様の扱いです)
-
- 3. 重ねて収納する際は、漆器どうしで重ねましょう。
- できるだけ重ねずしまうのが理想ですが、重ねて収納する場合には、
傷をつきにくくするため、焼き物などの硬いものとは別にし、漆器どうしでしまいましょう。
-
- 4. 鋭利なもの、硬いものと一緒に使うのは避けましょう。
- フォークやナイフなど、硬いものとお使いになると傷がついてしまう場合があります。
-
- 5. 直射日光・極端な湿気や乾燥は避けましょう。
- 変色、変形を避けるためです。長期間使用しない場合は、
ティッシュや柔らかい紙に包み、箱に入れてしまいましょう。