高耐久性漆器の開発「見る工芸から使う工芸へ」

東北工芸製作所と産業技術総合研究所 東北センターが共同で、漆工の擦過性、耐候性等を向上させるナノコンポジットの技術を用いたコーティング(保護膜)を開発し、玉虫塗への応用を実現しました。

伝統技術の高度化により、現代のライフスタイルに合わせた商品への漆工の展開が広がります。また、食洗機にも耐えられるため業務用や海外での需要拡大、さらには携帯デバイスや自動車内装部品等の工業製品への応用可能性も期待できます。

英語では「Japan」と言われ、まさに日本の伝統美の代名詞である漆器文化ですが、ライフスタイルの変化や新しい消費者との接点の少なさから衰退の一途を辿り、30年前の半分以下の生産額に落ち込んでいます。

東北工芸製作所は、創業以来、時代に合わせた日用品を生み出し続けてきました。そして、今回、ナノコンポジットコーティングを開発(特許申請中)したことにより、日常使いに頼もしい耐久性を持った玉虫塗を皆さまにお届けします。

玉虫塗とは TAMAMUSHI LACQUERWARE

「玉虫塗」は、艶やかに照り返す発色と光沢が特徴の、仙台生まれの漆芸です。
光の加減で色合いが微妙に変わる、その豊麗な色調がタマムシの羽根に似ていることからこの名が付けられました。独特の風合いに加え、「玉虫塗」はもともと国策として開発された特許技術であることも大きな特徴です。

「玉虫塗」は、昭和7(1932)年、国の初めての試みとして仙台に設置された国立工芸指導所で、「輸出」のために開発されました。当時指導所では、海外の嗜好に合うように、色、デザイン、質感すべてに熟考を重ねて新しい漆工の可能性を模索していました。そこで開発されたのが、「銀粉」を撒き、その上から「染料」を加えた透明な漆を塗り上げるという独特の技法です。この着想を取り入れることで、これまでの漆器にはない、鮮やかな色と輝きを出すことができるようになりました。

東北工芸製作所は、昭和14(1939)年に玉虫塗の特許実施権を得て、その後、国内・海外向けに次々と新商品を製作して参りました。昭和60(1985)年には宮城県の伝統的工芸品の指定を受け、現在は献上品、記念品などでも多数ご注文をいただき、仙台の特産品として親しまれています。

ナノコンポジットコーティングコーティングとは NANOPOSITE COATING

ナノコンポジットコーティングは、通常の玉虫塗を仕上げた後に施されます。塗料の調合、塗り方、乾燥工程など、玉虫塗ならではの光沢感を保ったナノコンポジットコーティングの完成までに、2年の月日をかけて産業技術総合研究所 東北センターと共同開発してきました。

  1. 1.下地

    木、金属、硝子、樹脂などでできた素地の凸凹や傷を、磨いたり削ったりを繰り返し、上塗りができる状態にします。塗っては研磨するという作業を繰り返して、表面を滑らかに強くしていきます。塗り物は下地で決まりますので重要な工程です。

  2. 2.銀粉蒔き

    玉虫塗の最大の特徴である「艶やかな光沢」を生み出す、玉虫塗だけの独特の工程です。この銀粉の輝き具合を調整することにより、玉虫塗の奥からの美しい照り返しを実現しています。

  3. 3.上塗り

    華やかな色調の玉虫塗を施します。熟練の技が必要とされるのがこの上塗りの作業。湿度や温度に合わせて適切な塗料の配合を調整し、均一に色を塗っていきます。埃やゴミが付かぬよう、そして色むらができないよう、細心の注意を払って緻密な作業を繰り返します。

  4. 4.ナノコンポジット

    ナノテクノロジーを活用し表面の硬度を上げ、紫外線に強くするなど、現代のライフスタイルにあった商品展開を可能にする機能を追加します。数値的な透明度と、漆器としての自然な美観を兼ね備えた特許申請中の技法で、玉虫塗の艶やかな光沢と華やかな色調を引き立てます。

商品ラインナップ PRODUCTS

ナノコンポジットコーティングは、下記の商品に施すことができます。
個数や納期などで価格は変動いたしますので、お問い合わせください。

ワインカップ 詳しく見る

導入事例 CASE STUDIES

仙台市 様

主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議にて、ナノコンポジットコーティングのワインカップが各国要人への記念品に採用されました。

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海鮮ビストロ・ヤマライ一番町 様

東北の海の幸、山の幸を堪能できる仙台のフレンチレストラン。食事を楽しまれるお客様の乾杯に、ナノコンポジットコーティングされたワインカップをお使い頂いています。

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「ものづくり日本大賞」経済産業大臣賞 AWARD

2015年に東北工芸製作所は、「第6回ものづくり日本大賞」の経済産業大臣賞を受賞致しました。

今回の受賞は、ナノテクノロジーを活用し表面の硬度を上げ、紫外線に強くしており、食洗機への対応など現代のライフスタイルにあった商品展開を可能にする機能を玉虫塗に追加するプロジェクトが評価されました。

無機有機ナノコンポジットコーティング(粘土質材料)の開発は、産業技術総合研究所 東北センター 化学プロセス研究部門 首席研究員 蛯名武雄博士のクレイチームと共同研究をいたしました。産業技術総合研究所 東北センターは、1932年に玉虫塗の特許技術を生み出した、国立工芸指導所の後進機関となります。

なお、「ものづくり日本大賞」は 製造・生産現場の中核を担っている中堅人材や伝統的・文化的な「技」を支えてきた熟練人材、今後を担う若年人材など、「ものづくり」に携わっている各世代の人材のうち、特に優秀と認められる人材を顕彰するものです。経済産業省、国土交通省、厚生労働省、文部科学省が連携し、平成17年より隔年開催しており、今回で6回目を迎えます。

ものづくりの世界での名誉といえば、褒賞や現代の名工などがあり、功績に対して頂くものとなります。今回のものづくり大賞は、各個人の「これからの活躍に期待して」の賞との位置づけで、東北工芸製作所からは、佐浦康洋、佐浦みどり、松川泰勝、木村真介の4名が受賞しました。なお共同研究者である産業技術総合研究所 東北センターからは、蛯名武雄様や石井亮様が受賞しております。

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